社会人時代vol.1(二十歳)
新人
私は受付の配属になりました。
自社ビルは完成したばかりの12階建て
その大きさもさることながら
社員の顔も名前もまともな敬語すらも知らない私にとって
その席は まさしく 針のムシロ でした。
早速私は敬語の猛勉強を始めました。
本屋さんへ行き「敬語」という本を買いました。
「え?何、何」
「社内の人間の事は謙遜して言う」か・・・フムフムという感じです。
「あいにく部長は会議中でございます。」
「ご用件をうけたまわりますが」
「のちほどこちらからお電話を差し上げるよう、申し伝えておきます」
かまないようになるまで、何度も何度も声に出して練習です。
鈴木健二氏著の「気くばりのすすめ」なんかも買って読みました。
配属二日目
人事部の部長がおもむろに受付の前にやってきて
4mくらい離れて私を見て、こう言いました。
「あ~ いいですねぇ」
「何がいいもんか」
「私はおかげで針のムシロに座っているようなんじゃ」
と言いたかったところですが
新人に超がつく私は その時 「にこっ!」と微笑んでいました。
こうして気くばりという名のビジネスが始まりました。
– end –
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